リモートワーク体制よりもまず自立組織型を目指すべき
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コロナ渦もあり大手のITに弱い企業でも、リモートワーク体制を整える傾向です。
そのためにZoomやSlackを導入するなど、設備投資する企業を目にします。
同時にそのようなIT弱者から金銭を得ようと、大手や縦割り組織が好むサービスを営業するのも目にします。
どちらもニーズを叶えているから契約数が増えそういった事業が成長するのは事実ですが、
中には従業員を奴隷か何かと勘違いしたサービスがあったり、自身の業務や方法が重要で効果があると勘違いしている管理職がいるのも多かれ少なかれ事実です。
私は5年近く長年リモートワークで働いてきた中で、たどり着いた考えに「リモートワーク体制整備よりも従業員や管理職のマインド改革が先」があります。
何故マインド改革が先なのか?何故自律型組織なのか?について業務レベルを交えて書いていきます。
自律とは?
まず自律とは国語辞書では次のように定義されてます。
他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。 https://dictionary.goo.ne.jp/word/自律 より引用
要は自分で考え動けることです。
自立との違い
ちなみに、似た言葉に自立がありますが、こっちは他に頼らず自身で問題を解決することです。
自律型組織とは?
では、自律の字を使った自律型組織とは何か?
それは、縦割り組織の上司からの指示系統・意思決定のプロセスを持たず、各従業員が自ら思考し、自ら最適な行動を選択している組織です。
何故自律が良いのか?
なぜ従来の上司からの指示や意思決定を貰うプロセスよりも、各従業員が自分で考え行動する組織がいいのか?
それは人は思ったより無能だからです。一人の能力が優れていても大勢の人的リソースには敵いません。
一人の上司より複数の部下
指示系統を上司に集約すれば、上司による集中管理ができると思いますが、それは机上の空論です。
大抵の会社において「上司が自分の部下全員と比較してら上司の方が優れていて、観点漏れやミスは起こさない」わけがありません。
実際は上司は伝達内容が欠落したり、返答が遅いし、忘れてることもあるし、業務毎のコンテキストを覚えてるわけないので、それぞれ報告から最適な手段を常に出せるわけがありません。
つまり、自律型組織とか比較せずとも、そもそも上司集中管理は限界があるのです。
部下全員に情報を渡して自分で考えさせる
一方で部下が自律すれば、意思決定を上司に仰がず自分で考え決めて行動します。
これにより上司からの返答を待つ時間を短縮できますし、取り掛かっている部下がコンテキストを最も理解してるため最適手段を選べます。
しかし、これもやはり机上の空論や前提条件が多くあります。
部下が常に最適な手段を選べる保証は上司同様にありえません。
しかし、部下に判断に必要な情報を渡すことで判断ミスを減らすことはできます。
考えるとは手持ちの情報から予測すること
必要な情報が揃っていれば最適な手段を選ぶ確率が上がります。
そして、部下メンバーの人数分が自律するだけで全体の伝達時間の短縮に繋がり、業務効率は向上します。
どっちもミスするならそれ以外で良い方を選ぶ
どちらにせよミスする確率があるならば、上司は情報を適切に部下に提供し、あとの判断は部下に任せてしまったほうが業務速度の差で軍配が上がります。
当然ながら自律にもリスクは生じますし、銀の弾丸では絶対にないです。
でも今の環境に適してるのは自律型組織に近づいてます。
つまり自律が良いというよりは、上司集中管理が時代に合わなくなってきたのです。
オフィスワーク体制でも不完全
そもそもオフィスワーク体制であっても上司集中管理の欠点は存在します。ただそれを上司に直接出向き差し込むように指示や意思決定を仰ぐことでゴリ押しで解決できることでカバーされてました。
しかしリモートワーク体制となると、指示系統など伝達速度がより低下します。
上司の元へ直接出向くこともできません。逆に上司が部下に伝達するケースも同様です。
この欠点がより顕在化したことでリモートワークを悪と捉えたり、オフィスワークマインドのままリモートワーク体制を整えようと上司は動きます。
何故マインド改革が大事なのか?
ただでさえ完全ではない管理体制を現状の構造のまま不足を補おうとするため、管理体制強化が行われ、それを謳うようなサービスが営業されるわけです。
そもそも管理業務はトヨタウェイのムダ、正味作業、付帯作業でいう付帯作業です。
そして指示系統や意思決定の伝達は7つの無駄で言う運搬または動作のムダです。
そこに力を入れる上司はそもそもそのポストに相応しい仕事をしてると言えるでしょうか?
部下も自律せず指示を待つ姿勢を続けていれば、上司からすれば「自分が動かさないと仕事が回らない」と思ってしまうのも無理ありません。
リモートワーク体制に最も必要なのは設備ではない
ここまで読むとリモートワーク体制に「最も」必要なのは設備ではないことが分かると思います。
縦割り組織が生み出す利点と欠点
組織化された体制の全てが悪いわけではありません。
業務設計がされて、役割毎に部署が分かれ、業務オペレーションも整備されるなど、決まった業務に関しては効果を発揮します。役割の範囲内においては非常に効率が良いと思います。
たとえ多少ムダがあっても人リソースと資金力とシェア獲得率でコスパ悪ながらも黒字経営が成り立ちます。
一方、スタートアップや中小企業では人リソースは少なくタスクが溢れかえっています。
そのため、人リソースをなるべく使わずムダのなく効率良く経営しないとあっという間に赤字や資金が底をついてしまいます。
役割が柔軟な対応を縛る
しかし、欠点は役割の範囲外になると途端に動きが鈍くなることです。
なぜなら、意思決定が上司に仰がないといけないためです。
またそれだけでなく「これ自分の担当外だ」と決め、そもそも上司に相談すらしなくなります。
しなくても自分に課せられた業務外だからやらなくても怒られない、悪くないと自信を持っているからです。
最もこれらが顕著に現れるのはチーム間連携や部署間連携など連携作業となります。
組織化された体制のサービス障害検知は一部の人しかしてない
この欠点でダメージ受けやすく、逆にカバーすることでダメージを最小限に抑えられるのがサービス障害です。
サービス障害はどこで誰が見つけるか分かりません。
ユーザーかもしれないし、サービス開発関係者かもしれないし、ユーザーサポートの人かもしれません。
これをサービス開発関係者、突き詰めては担当部分のエンジニアや企画者だけになってしまいます。
自律は関係者の境界を曖昧にする
上司は部下に担当を伝えるだけでなく、自身がサービス関係者であり、これらを自分事だと捉えさせるよう伝えることがとても重要です。
なぜなら、自律には自分の担当を中心に一歩引いた場所から周りを含めて見る視野が必要なのです。
こうすることで、全ての人が自分の担当領域から一歩周りに手を広げると互いにカバーしあうことができます。
障害の発見、報告は全員が担当
このように自律すると報告の発見を担当者だけでなく、みんなが自分事だと感じて報告します。
また報告受ける側も、周りの立場や視座に手を広げることで報告方法を楽にしようという行動にも繋がります。
リモートワークでは指示ではなく共有が重要
リモートワーク体制では指示や判断ではなく、情報を共有して判断を委任させることが重要です。
見えない状態であっても自律して動いてる状態にしてしまえば結果はコミットされるからです。
操り人形のように部下に指示、管理では見えないのでうまくいきません。