CX/UX/UIデザインの価値を定量化するために私がした施策

CX/UX/UIデザインの価値を定量化するために私がした施策

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この記事はデザイン価値の定量化で、チームをユーザーファーストな文化にしたくて私が進めた話です。
UXデザイナーだけどデザイン変更の説得に悩んでる人や、どうすればUXが重要だと理解してもらえるのか考えてる方の参考になればなと願います。

UXデザインを取り巻く課題

  • UXデザインはクライアントエンジニアも必須スキル
  • デザインやUXの価値は閉じている
  • ユーザーファーストには共通指標が必要

UXデザインはクライアントエンジニアも必須スキル

UXデザイナーだけでなく、iOSエンジニアやAndroidエンジニア、フロントWebエンジニアと呼ばれるクライアントエンジニアは、画面実装がそのままUXに繋がるため大抵はUI/UXに関する知見が経験値として蓄積されます。
そして、デザインはUXに依存しており、UXが離脱率や継続率にも影響すると見ています。
加えてUXだけでなくサービス全体の体験を意識するようになりCXデザインにも気を使うようになります。

クライアントエンジニアはプログラムを書くだけでなく、エンドユーザーに対する理解や配慮を持たないといけないポジションです。

デザインやUXの価値は閉じている

しかし、UXデザイナやクライアントエンジニア以外の開発者やビジネスサイドの人はそうではありません。
なので、改善案を出したとしても、定量的でなければ理解することは難しいです。

不要だとは思っていません。ただ理解できないことのほうが大半です。
クライアントエンジニアも経験を通して重要性を理解しており、何か学習過程で得るものではないからです。

ユーザーファーストには共通指標が必要

そのため重要だと判断してUX改善を進めても、周りには重要性は伝わらず議論となっても理解されません。
「個人の感想や判断であってそこから重要性を見いだせない」と言われます。
どんなにクソなUXになってても、POやPMが理解できなければUXは改善されないままです。

つまりユーザーファーストであるには、ユーザーの感情や思考など定性情報を定量化する必要があります。

何を定量化するのか?

  • 無意味なデザインはない
  • デザインを触れる人の感情を分析する

無意味なデザインはない

UX(User Experience)そして UI, これらは無意味にデザインすることはありえません。
必ずデザインには、目的や考えがありデザイン理論に基づいて設計します。
どんなに刺激的なものでもベース理論は守られてます。

CX(Customer Experience)には、どの順番で体験させるか体験計画や、その体験計画を実現するため導線と呼ばれる体験への画面フローがあったり、体験する人の感情や思考理解のためのペルソナがあります。

これらは見た目の美しさや既視による安心感、目に入る情報量の制御、情報の配置による視線誘導、前の画面で提供してる知識を前提の情報密度、そしてそれらをユーザー思考になりきり脳内シミュレート。など デザインするときは数値ではなくユーザの感情や思考をベースに設計することが多いです。

デザインを触れる人の感情を分析する

そのため定量化するには、まずデザイン対象となるコア体験の理解が必要です。つまり
「そのサービスがターゲットにどういった体験を提供することで、対価として収益を得ているのか」 です。
人から「何が良くて毎日・毎回そのサービス使ってるの?」をユーザーがどう答えてほしいか?

私の場合は、感情の中で重要なキーだった 「楽しい」 について定量評価できるためにこの感情を分解する施策をしました。

もし、ここが分からない場合はチーム内話し合うべきです。
「我々は誰に何のためにこのサービスを作っているの?」 はとても重要です。
PO/PMがここが未定義のサービスは方向性が曖昧で、ビジネスモデルとしても怪しいです。

どう定量化したのか?

  • 「楽しい」とは何かをツリー化した
  • ツリー化した「楽しい」の具体的な「楽しい」シナリオを出す
  • 細分化された「楽しい」からユーザーが楽しい状態になってると判断できる指標を出す
  • 楽しいを阻害してる画面や状態を洗い出す

「楽しい」とは何かをツリー化した

「サービスにおいて楽しいとは何か?」をまず「◯◯が楽しい」「◯◯だから楽しい」「◯◯ができるから楽しい」というフォーマットで洗い出しました。

↓のようなツリー状に分析しました。(レイアウトイメージを見せるだけなので、中身はぼかしてます)

少し脱線

例えば「ECサービスにおいて女性の楽しい」は「ウィンドウショッピング」です。
理解できない男性は多いと思います。
この感情を分かりやすいようにシナリオを下記に並べます。

  • 漫画好きな人が巨大な書店で漫画コーナーで何か面白そうな本はないか見て回る
  • 釣り好きがロッドコーナーやルアーコーナーを見て回る
  • エンジニアがキーボードコーナーや技術書コーナーを変わったガジェットや最近のトレンドは何か見て回る
  • ゲーム好きがゲームコーナーで何か面白そうなゲームはないか見て回る

つまり「多少興味や知識あるジャンルにおいて、未知の体験や知識が見つかるかも知れない」という 期待や可能性 がウィンドウショッピングが楽しいに繋がります。

「買う」が目的ではないのです。買うは購買意欲という器から欲が溢れた結果です。
始めから目的を持って買う人もいますが、それはメインにしてはいけません。
どんなに金持ちでも買うもの物が毎日あるとは限りません。

ツリー化した「楽しい」の具体的な「楽しい」シナリオを出す

「楽しい」で「◯◯が楽しい」などフォーマットにそって洗い出された楽しいの理由が出たら、
今度はそれを具体的なシナリオに出します。
「具体的にどの画面?」「どの画面で何をしてるとき?」など、サービスのどこか分かることが重要です。

「楽しい」からいつ・なぜ・どこでCVRに繋がるのか見つける

「楽しい」だけではCVRには繋がりません。つまり収益には繋がりません。

前述したウィンドウショッピング同様にどっかのタイミングで実際に買うに繋がります。 それが「一旦自宅戻り、次回給与日+買い物行きたい欲が高まったときに、思い出して買う」のか、 「楽しいの一部が上限超えたことで買う」のかを見つけないといけません。
必ずいつかはCVRに繋がっています。

細分化された「楽しい」それぞれに対しユーザーが楽しい状態になってると判断できる指標を出す

細分化された「楽しい」同士の関係性も知る必要があります。
CVRに繋がる「楽しい」だけをテコ入れいても前提となる「楽しい」があった場合、そこに到達しないからです。

そして各「楽しい」となっている指標を見つけ出します。
ウィンドウショッピングであれば、1品見て満足にはなりません。商品をたくさん見る必要があります。
たくさん見れば時間もかかります、セッション時間にも関係します。
また商品がしょっぱい見せ方には興味を持ちません。魅力ある商品つまり撮影費や画像数なども関係してきます。

楽しいを阻害してる画面や指標を洗い出す

反対に「楽しい」状態から萎える状態も知る必要があります。
ウィンドウショッピングを楽しんでるときに、買わせる気満々の接客スタッフが来たら萎えます。

阻害してる要因やそれを表してる画面などを洗い出したり、阻害を表す指標を見つけます。

指標を見える化してCVRと本当に繋がりがあるか答え合わせは必要

まだ洗い出された指標がそのままデザインにおいて重要な指標なのかは不明なままです。
このままだとPO/PMはなぜその指標がCVRに繋がるのかが理解できません。

理論が正しければ、少なからず「楽しい」の指標とCVRやKPIツリーの何れかに比例関係にあるはずです。
もし違っていれば指標が間違っているので再分析します。

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