5年近くリモートワークで培ったテキストコミュニケーションを一人で改善する方法

5年近くリモートワークで培ったテキストコミュニケーションを一人で改善する方法

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5年近くフルリモートワークを経験して分かったことは、テキストコミュニケーションの改善は組織を大きく改善します。
リモートワークはテキストコミュニケーションが要です。

この記事では、そんな私がテキストコミュニケーションとは何か?どうやったら上手になれるか?一人から始められる改善についてまとめました。

テキストコミュニケーションは重要

対面でのコミュニケーションが多い企業では、メールやSlackなどの文章による意思疎通の重要性は低いです。
なぜなら、人が目の前にいて、口で話したほうが楽だからです。

隠されたテキストコミュニケーションと音声コミュニケーションの違い

インタラクティブか否かです。

口頭や音声コミュニケーションでは、テキストコミュニケーションと比べ圧倒的にやり取り量が異なります。
文章として完成していなくても相手側の相槌や質問を繰り返して少しずつ情報を伝達します。
やりとり量が多くても速度でカバーされています。

テキストコミュニケーションは逆です。速度が遅いのでやりとり量の多さは無駄の要因になります。
一回で伝える情報を品質良いものにしなければ対話量が増えます。

音声コミュニケーション慣れしてる人はここを面倒くさがります。

良いテキストコミュニケーションの定義

テキストコミュニケーションとは、伝達手段が「口頭からテキストに変わっただけ」と考える人は多いと思います。
確かに手段が変わっただけですが、手段が持つ特性も変わったことに気づいていない人は大変多いです。
では、良いコミュニケーションを取るために必要なものは何でしょうか?

文章力

何が言いたいか分からない人の文章で共通してるのは、当人のコンテキストが伝わりきれていない点です。
状況や環境により知識差があるはずなのに、そこの差に気づけず説明不足が発生します。

求められるのは、簡潔で齟齬なく読みやすい文章で伝える力です。

解読力

伝える側に全責任があるのは間違いです。これは口頭であっても同じ話です。

相手の立場にたって知識差を埋めるために背景を伝えると、長文を面倒くさがって読まない人がいます。
逆に背景を伝えず要件に伝えると、齟齬が生まれたり、質問が多くてやり取りが増えたりします。

求められるのは、複数の条件が絡んだ文章を読み解く力です。

全員ができて当たり前ではない

日本語を喋れるからと言って、音声コミュニケーションが得意とは限りません。
同様にひらカナ漢字が読めても文章を読み解くとは限りませんし、齟齬ない文章を作れるとは限りません

全ての人が文章力と解読力が及第点を満たしてるとは限りません。苦手な人も当然います。
そのため良いテキストコミュニケーションは、上記に挙げた2つだけでは現実的に不可能になります。

テキストコミュニケーションの隠れた重要特性

実はテキストコミュニケーションには音声コミュニケーションにはない重要な特性があります。

ノンバーバルコミュニケーションできない

ノンバーバルコミュニケーションとは非言語コミュニケーションです。
顔の表情や相槌、姿勢など文章にはされないボディランゲージです。

テキストコミュニケーションでは、文章のみになるためこの部分が欠落します。
相手への疎通確認が意識しないと取れなかったり、感情が読み取れないといった問題がでてきます。

読み手が書き手の感情を作る

音声では感情を乗せて聞き手に伝わります。
しかしテキストでは文字に感情は入りません。文字が持つ意味しか伝わりません。 そしてそのテキストを読むのは読み手になります。

このときに起きるのが、読んでいる文章に無いはずの感情を読み手自身が作り上げてしまいます。
例えばPRレビューコメントで次のようなコメントを受け取るとします。

A「ここの実装を○○にしてる理由は何ですか?例えば△△にしたほうが良いのでは?」

一見普通の指摘コメントに思います。
しかし、この文章を受け取る前に少し叱られた場合はどうでしょうか?
叱られた後にこのコメントを読むと、読み手は継続して、この文章から怒り感情が作り上げてしまいます。

もちろん書き手はそんなつもりが全くないです。
しかしながら、読み手が無感情に読まない限りは、その前のコンテキストから感情を無意識に付与してしまいます。

最も円滑なのは蓄積された善意

上記の話にも関連しますが、普段から優しい人が送るメッセージは、読み手は負の感情を付与しなくなります。
同様に普段から助けてくれる人が送るメッセージは、読み手は感謝や尊敬が無意識に感じます。
この感情が文章の解読モチベーションに大きく作用します。

今日から誰でもできるテキストコミュニケーションの意識改善

テキストコミュニケーションの特性や良い定義が分かったら、我々は次のアクションを考えないといけません。
私が常に意識して忘れないようにしてることがあります。

リアクション・絵文字の力を侮るなかれ

Slackにはメッセージに絵文字をつけれるリアクション機能があります。
またテキストに絵文字をつけれます。

この2つは簡単にできますが、効果は絶大です。
何故なら感情を付与できるため、読み手が勝手に作り上げる感情をケチらせます。

これは見比べると一目瞭然です。

  • 「了解です」
  • 「了解です🙆‍♀️」

無感情だったテキストに感情が読み取れるようになります。

親切・尊重・尊敬を忘れない

テキストでも、本質は人と人のやりとりです。

  • 相手に親切に接する
  • 相手の立場を尊重する
  • 相手を尊敬する

この3つは忘れてはいけません。
この3つを意識して接した文章や行動をするだけで相手も伝搬して返してくれます。
結果的に互いに想いやり円滑なコミュニケーションができるようになります。

文章構造は面倒くさがらず考える

タイピングが遅い人や文章構造を構築が苦手な人、音声対話に依存してる人は、文章構造を考慮せずに送りつけます。
読み手は散らばった文章を拾い上げ、自身で文章構造を構築して意味を取り出す必要が生まれます。

これは書き手の責任放棄で、読み手に丸投げです。
上司が部下に「こないだのあの案件をいい感じになる早で完了させて。なんかあれば言って」と伝えてるのと変わりません。

苦手な人でもタイピングが遅くても情報にノイズや棘がないように面倒くさがらず向かい合いましょう。

すぐ送る前に下書きする

書いた文章が良い文章となっているとは限りません。不慣れな人ならなおさらです。
急いでるときもありますが、テキストを送る前に下書きしてから整形して送りましょう。

下書きの段階で伝えたいことが曖昧ではなく明確に含まれているか?誤字脱字はないか?
相手が何を返信すればいいか明確か?など書き手の責任は果たしましょう。

自分で自分の文章を読み解く

下書きの話に繋がりますが、送る前にまず出来上がった文章を自身で読んで読み解きやすいか確認しましょう。
情報が頭に入っている自分が読みにくいと感じたら、相手はほぼ読み解けません。

文章改善小手先テクニック

前項で伝えた内容は抽象レベルや意識レベルの話です。
もう少し具体的に落とした今日から役に立つ文章を改善する方法をまとめます。
Slackで円滑するために、悪い文章から良い文章になる添削一覧です。

装飾は統一する

Slackでは太字、斜字、コード、引用、プレコードの装飾を付与できます。
装飾なしのテキストで長文だと読みにくさが生まれます。

テキストに付与する装飾にはルールを設けましょう。
1メッセージ毎でも構わないし、自身の中だけでもいいです。

改行と段落で目の動きを狭める

横に長い文章は読みにくいです。行の移動時にどこまで読んだのか見落とすリスクも上がります。
目に負荷のかかる文章は読みにくいと思いましょう。

文章の段落毎に改行を入れて、話題が見た目で分かるようにしましょう。

内容は結論から

日本語は意識しないと重要な結論が最後に来ます。
読み手は意図が分からないまま読むのは苦痛です。

なぜなら観点が分からないまま文章を読みますし、モヤモヤが晴れないためです。

例えば次のような文章であれば、

最近導入したPRリマインダーですが、想定通り動かないケースがあります。
調査した結果リマインダーの仕組み上レビュワーがアサインされていないと通知されないようです。
レビュー後もレビュワー横の「Re-request review」ボタンも押す必要があります。

最初の行に結論、依頼したいことを書きましょう

【周知】PRレビュワーはアサイン・再アサインしてください。
PRレビュワーは必ずアサインしてください。
レビュー後もレビュワー横の「Re-request review」ボタンで再アサインしてください。

理由↓
最近導入したPRリマインダーですが、想定通り動かないケースがあり、
調査した結果リマインダーの仕組み上レビュワーがアサインされていないと通知されないようです。

絵文字やテキストで感情を入れる

慣れないなら絵文字を入れましょう。
例えば指摘や依頼など、相手に負の感情を汲み取ってしまいそうな文章は、
絵文字を入れることで相手への感情齟齬を回避しましょう、

絵文字でなくとも、テキストでも感情は入れられます。
例えば次のように、フランクな文章にするだけで怒られてる感を緩和できます。

  • 「○○をしてください」
  • 「すみませんが、○○をしてくださいー」

テキストコミュニケーションは必須スキルと言える

エンジニアだから技術スキルだけを磨けばよいものではありません。
エンジニアであれどチームとして動く限りコミュニケーションは発生します。
コミュニケーションが下手な人とは周りの人はやりにくさを感じます。

この辛い経験が次回採用時はコミュニケーションが下手な人は採用を見送ろうと必須スキルが増えていくでしょう。
今はまだなんとかなっていてもリモートワークが増えていく限り、近い将来は避けては通れないスキルになると思います。

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