リモートワーク歴3年以上が教える重要基礎とノウハウと落ちた穴
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私はフルリモートワークの会社で働いて3年以上が経過してます。テキストコミュニケーションの難しさや情報の集約性といった課題はありつつも、メリットを見れば魅力的な働き方です。
この記事は私の経験したリモートワークの重要な基礎理解やノウハウ、そして落ちた穴について説明します。
落ちた穴は極大で、しかも今後のリモートワークにおいてどの会社でも共通して発生する問題だなと思いました。
この問題の原因や何故起きてしまったのか?どうやったら回避や解決ができるのか?についてまとめました。
リモートワークに必要なスキルとは
リモートワークは、従来のオフィスに集まって顔を合わせ隣同士で会話ができる距離とは真逆の環境です。
一人自宅やカフェで近くにいないチームメンバーと会話をする必要があります。
そのような環境下でチームとして連携するには、従来の優先順位や価値観を大きく変える必要があります。
リモートワークはテキストがメインコミュニケーション手段
現状のテクノロジーでは、リモートワークではslackやSkypeなど文字による対話が主な手段となります。
slack callやhangoutやzoomなどビデオ通話がありますが、複数人で会話すると誰一人として音声を聞き取れなくなります。
メールも連絡手段としてありますが、メールでは通知からレスポンスまでのリードタイムが長いです。
口頭での会話がもっともリードタイムが短いです。
しかしテキストだけが全てではありません。リモートワークでもオフィスワークでも手段の数に変わりありません。
各コミュニケーション手段の特性を理解し正しく使うことが重要になります。
コミュニケーションを整理する
まずはコミュニケーションとなる会話とは何でしょうか?
分解することで、今まで気づかなかったけれど重要な存在が見えてきます。
例えばAさんがBさんに質問をする場合を例として上げてみます。
- A「Bさん、今いいですか?」
- B「いいですよ」
- A「Cさんから◯◯のデータはBさんから受け取ってと言われまして」
- B「あー、それね。後で送っておきますね」
- A「分かりました。ありがとうございます」
これを対話として変換すると次の通りです。
- 呼びかけ
- 応答
- 内容発言
- 応答
- 内容の返答
- 応答
実はこのように何気ない簡単に終わる会話の中でもっとも大事なのは「応答」になります。
では先程の例から「応答」を抜いてみます。
- A「Bさん、今いいですか?」
- A「Cさんから◯◯のデータはBさんから受け取ってと言われまして」
- B「後で送っておきますね」
会話が冷たいですね。Aさんがまるで人のこと考えずに話してるようにも見えます。 でもAさんからすれば、今時間あるか聞いてるのに反応ないので不安になっていると思います。 加えてAさんからすればBさんは怒っているようにも見えますし、なんのデータのことか伝わっているのか心配でもあります。
つまり「応答」とは相槌など伝わっていることへの反応を表します。
この応答が行われることで、Aさんは話が聞こえてる、内容が伝わっていると都度確認が取れつつ本来の内容について発信することが出来ているのです。
では相槌といった非言語コミュニケーションを知ったところで、各コミュニケーション手段の特徴について整理します。
普段のコミュニケーションでは口頭がメインです。その次にテキスト、通話、最後にビデオ通話といったところでしょうか
- 口頭
- 文章
- 通話
- ビデオ通話
口頭
口頭は音声と視覚、聴覚によるコミュニケーションです。
口頭では複数人で会話しても距離の近い相手となら複数人で会話してても不思議と聞き取れることができます。
ビデオ通話ではこの辺の技術がまだ発達しておらず同時に会話が発生すると、誰一人として何を喋っているのか聞き取れません。
また、口頭では単発の用語や短い文章でも会話が可能です。そのためコミュニケーションの敷居が低いです。
口頭では発信から相手に届くまでの時間が短く、 加えて、発信側が届いていると分かるような相槌といった非言語コミュニケーション がインタラクティブ性の高く、発信の多くても円滑にコミュニケーションが取れるのを支えてあります。
しかし悪い点としては、音声の総合時間、つまり喋ってる時間が長くなると何を言いたいのか分からなくなります。
また一度聞き漏れすると割り込んで聞き直さない限り確認できません。
文章
テキストつまり視覚のみのコミュニケーションです。
音声とは異なり、聞き漏れが発生せず何度でも読み返すことが可能です。
また伝えない内容を添削や整理してから相手に伝えられるので、発信側も慌てず、受信側も情報が読み取りやすいです。
悪い点は、良い点と似てるのですが、聞き漏れなくても読み間違えや読み取りミスはあります。人の脳は視覚から入る情報が曖昧でも補完するので、似てる文章やセリフがあると誤って解釈することもあります。
また発信側の文章構成力が乏しいと、受信側も読みにくいものとなります。
頭が整理できておらず文章が長すぎたり、そもそも発信側が自分が伝えたい聞きたいことが文章として整理できておらず、時間がかかることもあります。
通話
電話など音声だけの通話になります。
口頭の劣化版だと思ってもらうと分かります。視覚情報がないため非言語コミュが見えません。相槌しても見えません。 また発信側がごちゃごちゃしてると聞き取れません。 そのため通話では「大きな声でハキハキとしゃべる」「相槌を発する」の2つが現代まで活きている音声コミュニケーションノウハウとなります。
ビデオ通話
口頭と同じ方法でのコミュニケーションです。
口頭との違いは、物理的な距離が遠くても口頭と同じ手段で会話ができることと、品質が悪いと音声が途切れたり映像がカクついたりすることです。また複数人の同時会話は向いてません。
品質の悪い環境下のビデオ通話では、相槌が小さいと拾われないため、少し大げさな相槌の動きや音声「うんうん、そうそう」と言って応答する必要があります。
リモートワークでは整理できてない相談はビデオ通話にすること
例えばある企画の話が会議にて話題となりました。
この企画をブラッシュアップするためにできること出来ないことなど不明点や改良点を整理するために
別の人に相談する必要があります。
このときテキストコミュニケーションでやってはいけません。
なぜなら発信側である当人も把握していない情報が多いため、聞き手は何を聞きたいのか?何を答えればいいのか?どういった話なのか?どういった状況、空気感、温度感なのか周辺情報含め伝わらず齟齬のみが発生し混乱をきたします。
「そんな大げさなw」と鼻で笑う人もいるでしょう。でも実際企画慣れしてないディレクターや企画者、新人がこのケースが山程あります。8~9割がこれでしょう。当人は上手に出来ていると思っているかもしれませんが、それは受け手が聞き上手(要求分析が慣れてる)なだけです。
この場合はまずは、ビデオ通話でインタラクティブに質疑応答・情報交換を行い互いの情報整理と議論の土台固めが最重要です。 テキストはその後になります。
テキストコミュニケーションは丁寧に文章を作ることが大事
対話と同じ感覚で短い文章や、端的な用語で会話は非効率です。
これらは「応答」の速度が支えて初めて効果を発揮するコミュニケーション手段だからです。
「今いいですか?」は不要です。口頭と違って読まれるのは受信側のタイミング依存です。
また相手に発信する前にきちんと相手が何を返答すればいいのか明確にしましょう。 よくあるノウハウは最初に結論、間に説明、背景、最後に結論です。
例えばこんな感じです。
【質問】△◯サーバへの環境構築手順書を探してます
サーバが保持してる証明書の期限を知りたくて、サーバにSSH接続して確認しようかなと思っているのですが、
接続手段(証明書なのかパスなのかすら)が分からず、手順書に書いてるだろうと思って探してます。
別のchでプッシュ通知が一部ユーザーに届いていないと相談されたため原因を調査してます。
これを読んだ人から次のような回答が来ると思います。
- 「手順書はここです」
- 「サーバの接続方法は手順書ではなくこっちです」
- 「期限はここで管理してます」
- 「そもそも全体プッシュで確認は取れてますか?」
- 「プッシュ通知が失敗したらここにアラートが流れますよ」
- 「プッシュは外部サービスなのでこのURLですね」
など発信者が期待した答えから、発信者の方法よりも良い方法、発信者の勘違い、発信者の段取りミスなど、
文章が明確で詳細だと、受信者は状況を把握しやすく適切な返答することができて、やり取り時間や齟齬を減らせます。
テキストコミュニケーションは信頼関係でカバーしてる
フルリモートワークでは、互いの顔は見えずメインコミュニケーション手段としてslackなどのテキスト会話が主な手段です。 zoomやslack callなどビデオチャットも使いますが、常に繋がっているという環境ではありません。 主に会議体ではビデオチャット、それ以外ではテキストチャットに二分します。
そうなると、非言語コミュニケーションもできない、インタラクティブ性の低いテキストコミュニケーションでは、 入力/出力は全て文字の一択となり、次のような問題が起きます。
- 前提知識の違いからくる齟齬
- 文字の読み間違えからくる齟齬
- 知識差からくる長文または短文
- 全員知識ないことで起きる混乱
これらは全て議論への根気負けが原因です。途中で理解する姿勢がなくなったらその時点で議論は成り立ちません。
話す側は相手の気持ちや知識差を意識して、
聞く側は相手が何を言おうとしてるのか意識して
両者が相手を尊重、理解する姿勢が整うことは必須条件です。
これらを限界までやらなかった結果、問題が起きて、起きたらどうすることもできないという大きな穴があります。
誰もが落ちるリモートワークの極大デメリット
便利なリモートワークですが、コミュニケーション手段が口頭より変わったことで価値観やノウハウも大きく変わります。口頭では問題にならなかった部分も肥大化して問題になりますし、問題となっていた部分がノウハウ不要で発生しなくなることもあります。
メンタルがきついときのケアがないと詰む
会社要因でメンタルがきついときに解決する術がないと、どうすることもできず詰んでしまいます。
プライベートに重きを置く人で仕事に深入りしないタイプであれば、あまり問題視することではありません。
しかし、会社やサービスを良くしようと頑張るタイプであれば、避けることできない葛藤を解決することになります。
サービスを良くしようという意思が強ければ強いほど、逃げたくても逃げようがありません。
なぜこれが落とし穴なのか?
これはメンタルがきつくなったこと自体の原因ではなく、なぜそれが落とし穴だと思ったかなについて書いてます。
リモーワークではちょっとした雑談も全部誰もが見れる状況となります、そのため大振りふった雑談やちょっとした愚痴などは書くことで、それを良しとしない人が見るとそれは会社にとって迷惑行為となりかねません。
しかし人は仕事会話だけで連携が成り立つほど単純ではありません。 ちょっとした人間性や趣味や価値観といった背景を知ることでその人に話しかけやすくなったり、無理なお願いをしやすくなったり、反対に無理なお願いをしないように気をつけたりして、お互いに支え合った行動ができるようになります。
雑談はやりすぎは害ですが、ほどよく使うことでストレス発散や互いの信頼関係に強い効果を発揮します。
人によっては本当に仕事会話だけで成り立つ人もいますが、全員が全員そうでもありません。
人それぞれ適切な雑談量は存在します。
その雑談をする、相談する、愚痴相手になってもらうといった寄り添う行為がリモートワークでは存在しにくいです。
なぜならまずメンタルが落ちてるのに気づかないからです。
オフィスでは反応が変だったり、頭抱えてる状態が続いてたりと、非言語のアウトプットが無自覚ににじみ出てることで、他の人が気づいて同僚が気を使って話しかけたり、上司が相談に乗ることもあると思います。
しかしテキストコミュニケーションでは、前述したように手段はテキストだけのため、自分でそれを出す必要があります。
また加えて上司が見える場所でそれをする、もしくは上司に直接相談するなど、明確な行動として動き出す必要があります。
LINEの既読のように上司が見たと分かるのであればまだ分かりやすいですが、slackではその様な機能はありません。
つまり、通常時は問題ないが、不安定時に支え合う仕組みやきっかけが存在しません。
今回私は、その穴にハマってしまい苦労しました。
リモートワークのデメリットを回避するには?
部下の働ける環境や生産性を維持、向上するのは上司の役目の一つです。
上司からのレポートライン同様、上司への報告など上司が気づく仕組みづくりが必要です。
また本当の雑談の場というのは必要です。それが定例となると無駄な会議体となりなくなることは明白です。
なので通常のslack上で互いに話しやすい支えやすい信頼関係は複数人必要です。